イラストレーター、画家、違いは何?どっちがいい?

イラストレーターと画家って、何が違うのでしょうか?
この記事は、

・絵を描く仕事をしたい!でも、画家とイラストレーターの違いがまずよく分からない
・違いは分かるが、自分がどっちに向いているのかまでは分からない
・進学先を美術学科かデザイン学科どちらが良いか迷っている

そんな「絵を仕事にしたい」人に向けた内容です。

端的に言うと、

「イラストレーターは、依頼者が言いたいこと代わりに表現する。」

「画家は、自分が言いたいことを表現する。」

これが一番分かりやすいと思います。

「デフォルメの効いた今どきの絵が好き!(だからイラストレーター?)」だとか、「画材として油絵を気に入ってる(だから画家?)」だとかは一旦置いておきます。

それよりもっと根本的に、「なぜ、何のために絵を描くのか」を見つめ直してみましょう。

◆こんな人はイラストレーター気質

・人の役に立てることに喜びを感じる
・自分のためにすることより、誰かのためにすることの方がやる気が出る
・コミュニケーションを取るのが好き
・自分の名前は表記されないかもしれないが、自分の仕事がいろんな商品の一部になって広く世に出回って欲しい
・おしゃれなものや、新しいものが好き
・細かいことに気がついたり、気が利く

◆こんな人は画家気質

・あくまでも自分のために絵を描いている
・絵を描くことで自分の精神衛生を保っている
・目的がどうとかではなく、描かずにはいられない
・自分の作品は自分の作品として認められ、一点物の絵として誰かに買われたり、美術館に飾られたりしたい

一般的に、人は社会とのつながりを求めるし、人の役に立てたら嬉しいと感じるものです。

例えば、売れない画家として、10年間過ごしていたとします。すばらしい作品を描いているけれど、なかなか評価されずにいます。

バイトはしているし、実家暮らしなので、贅沢はできないながらも、なんとか生活はできています。そんな日々を送っている中で

「私の作品はだめなのかもしれない」
「私は社会にとって何の役にも立っていない」
「まだモラトリアムしてるのか?という周りの視線が怖い」
「親が死んだらどうなってしまうのだろう」

という不安はどうしてもついて回ります。

そこをなんとか

「周りの目なんて気にするものか!芽が出るまでこのまま描き続けてやる!」
「ひとまず就職するけど、絵はずっと続けて、いつか売れてやる!」

と思うことができ、実行できるなら、画家向きです。

そんな精神力、並大抵のものではありませんよね。普通の人じゃ無理そうです。

では、イラストレーターの方が簡単にできるのでしょうか?

イラストレーターは、画家よりも食べていく道は多くあります。しかし、こちらにもやはり向き不向きはあります。

・イラストは、デザインの一種

・デザインは、「人のためにすること」

・クライアント(依頼者)がいて初めて仕事になる

・「クライアントの言いたいことを、代わりにうまいこと伝える」「クライアントの問題を解決する」ことが主な仕事

みなさんは今は「自分が表現したいことを、自分の思った通りに」描いていると思います。でもイラストレーターの仕事では、そうもいかなかったりします。

ときには

「私は完璧に仕事をこなしたのに、理不尽な修正変更を求められる…」
「がんばって資料を作ったりして提案したのに、予算が下りなくてプロジェクトが立ち消えた…」
「こんなにがんばってやった仕事だけど、自分の名前はクレジットされないんだよな…」
「ツールも流行も、数年で変わっていくので、常に勉強していないとすぐに古くダサくなってしまう」

などと、不満に思うこともあるかもしれません。そこを折り合いをつけるなり、交渉して解決するなり、建設的に考え、周りの人と協力して物事を円滑に進める能力が必要となります。

「画力」は、イラストレーターとしての一要素でしかありません。相手の思いを汲み取り、どういう表現が最適か考え、それをかっこよく具現化する。それを楽しめる人が向いています。

どうでしたか?

自分はどっち向きか、答えは出たでしょうか。

今は答えが出なくても、大丈夫です。

きっと、これから絵を描いたり人と接する中で、あなたなりの道が見えてくると思います。

私は大学1回生のときに
「あれ?私、自分のことしか考えてなかったみたい…デザイン、向いてないかも…」
と悩み、2回生から美術学科に転学科しました。

美術学科で学んだことはとても面白かったです。

しかし、社会に出てからなんだかんだでイラストの仕事をしたり、webサイトを制作したり、絵画教室の先生をしたり、似顔絵の仕事をしているうちに、

「【誰かに頼まれて絵を描く】のと、【こんなイイ絵描いたんだよ〜誰か買って〜】では、何もかもが違う…!私は、誰かのために働く方が向いてる…!」と思い始めました。

そしてここ数年、人を雇ってワークショップや似顔絵イベントの仕事をしたり、似顔絵の通販のマネジメント業務もするようになってからは、

「経営者っぽいことしてるけど、気が小さいからどう考えても経営者気質ではない…本来なら誰かをサポートする側の方が向いているに違いない…」
と思っています(笑)

いろんなことをやって、自分に向いていること、向いていないことがやっと分かってきた30歳です…。

先述した業務はどれもまだ形を変えて続けており、自分の仕事を支えてくれています。収入を1本に絞っていないからこそ、コロナ禍においても金銭面のリスクを分散できていますし、ジャンルの垣根を超えた広い視野を持つことは、絵画教室の先生としてもとても良いことだと思っています。

紆余曲折を経ることも、決して悪いことではないはずです。

これを読まれた方が、画家orイラストレーターの2択だけでなく、それらの周りにあるいろいろな職業に目を向けて、自分に合った仕事を見つけていけますように!!

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